東京SP研究会
OSCE(オスキー)とSP

オスキーとは

OSCE(オスキー)とSP

OSCE and SP 

OSCE(客観的臨床能力試験)


 OSCEでは、いくつかの小部屋(ステーションといわれます)に分かれて試験がおこなわれます。そこで試験される課題は基本的には医療面接と、診察(胸部、腹部、神経学的など)、治療(消毒、包帯交換、縫合、蘇生など)の実技で、所定の時間内に受験者は出された課題にとりくみ、評価者がその場で評価していきます。多くの大学では模擬患者に対する医療面接は必須の課題とされており、日本では模擬患者も模擬患者用の評価表を用いて受験者を評価します。
 これは試験ですから、模擬患者にばらつきがありすぎては受験生は戸惑ってしまいますし、客観性への信頼も低くなります。そこで、模擬患者の言うことや態度などをある程度統一しておかなくてはなりません。このように統一された模擬患者を「標準模擬患者Standardized Patient」といいます。
 東京SP研究会では1995年の厚生労働省による試行からOSCEのお手伝いをしており、2000年は首都圏を中心に17大学でお手伝いをしています。OSCEにあたっては、実施される大学の担当者の先生もまじえて、標準化のために何度も検討や練習を積み重ねて、当日に臨みます。
 ただ、OSCEでは一定の手順で医療面接ができれば合格となります。そのため、とてもスムーズな面接で減点しようがないけれど、なんとなくすっきりしない、なんとなく信じられないというような感じを伝えることは困難です。同じようなことは通常の面接演習でもありますが、そのときには率直にフィードバックしたり、みんなで話し合ったりすることができます。OSCEではそうもいきません。優秀な医学生のことですから、How To だけをとてもうまくこなして一件落着となってしまう危険も少なくありません。
 その意味で、「標準模擬患者によるOSCE」と「模擬患者による医療面接演習」とのあいだには方法や目的に違いがあり、SPはその違いのうえで自分の思いのバランスをとりながらこの活動を行っているのです。

 

[日下隼人]『話せる医療者』医学書院刊より

追記:2007年は東日本を中心に23大学医学部で協力しています。

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