東京SP研究会トップページ > 東京SP研究会の活動について
東京SP研究会の活動について
■ 東京SP研究会 2013年度 活動記録はこちら
■ 東京SP研究会 2010年 1月〜6月の活動記録はこちら
■ 東京SP研究会 2007年の活動記録はこちら
医療面接の患者役になって、医療者(学生)に症状を話したり、質問に答えたりするのがSP(Simulated Patient:模擬患者)です。症状や状況はあらかじめシナリオを作成して記憶しておき、メモなどをいっさい見ないで患者役を演じていきます。ゼロから関係をつくっていくことに目を向けるために、初診の場面を主に設定します。
模擬患者のシナリオの中心となる部分は、身体の調子が悪くなった様子です。上に述べたように救急ではない初診の場面を主に設定し、その場で出血していたり激痛を訴えているような状況ではありません。ふつうに歩けて、まずふつうにお話もできるという程度です。コミュニケーション教育の初歩の段階では、環境に余裕があるほうがじっくり取り組めて、けっきょくは効果を生む可能性が大きくなると思うからです。
病名を言い当てるのがこの面接の目的ではありません。したがって特定の疾患そのものずばりというよりは、むしろ症状からいくつかの疾患を考えながら、患者さんとの関係を大事にしつつ、適切な質問をするという方向になるように、幅をもたせた内容にしています。
また、ひとりの人間が人生の途上で病気や事故に出会っていることがシナリオの上できちんと書かれているようにします。私はSPのシナリオを「人生劇場」だと思って、その人になるきるための台本として大事に考えています。
SPは演技をしながら、相手の話し方や態度について「患者としてどう感じたか」を感想として述べたり、OSCEでは簡単な評価表に記します。いずれにしても役になりきって面接をしながら、自分の感情に気づき、相手の印象をつかむという作業をします。
たとえば、最初は冷たそうな感じがしてこちらも緊張していたが、だんだん話が進むにつれて親身にわかろうとする気持ちが伝わってきて楽に話ができるようになってきた、という大きな流れをつかんだとします。「冷たい」から「親身な感じ」に相手の印象が変化していますが、感情も同時に、緊張から楽へと変化します。
一つひとつをこと細かにとりあげるのではなく、このように大きな流れをとらえて、「自分は相手をどのように受け止めて、最後はどんな気持ちになったか」をつかむことが大切です。
口頭で感想を述べるときには、必ず相手役の状態を見て、適度に加減をしながら、大事な点だけを簡潔にまとめます。
たいていの相手役の医療者は、いまの自分の面接について、ああすればよかった、あれはいけなかった、などとご自分でわかっておられます。それ以上の追い打ちをかけるようなことは避け、翌日からより前向きに患者さんに出会いたいと思ってもらえるようにとこころがけて話します。嘘やお世辞を言うのではなく、自分にとってよかったこと、うれしかったこと、具体的に気づいたことを率直に語るようにします。
■ 東京SP研究会 2010年 1月〜6月の活動記録はこちら
■ 東京SP研究会 2007年の活動記録はこちら
医療面接におけるSPの役割
医療面接の患者役になって、医療者(学生)に症状を話したり、質問に答えたりするのがSP(Simulated Patient:模擬患者)です。症状や状況はあらかじめシナリオを作成して記憶しておき、メモなどをいっさい見ないで患者役を演じていきます。ゼロから関係をつくっていくことに目を向けるために、初診の場面を主に設定します。
シナリオについて
模擬患者のシナリオの中心となる部分は、身体の調子が悪くなった様子です。上に述べたように救急ではない初診の場面を主に設定し、その場で出血していたり激痛を訴えているような状況ではありません。ふつうに歩けて、まずふつうにお話もできるという程度です。コミュニケーション教育の初歩の段階では、環境に余裕があるほうがじっくり取り組めて、けっきょくは効果を生む可能性が大きくなると思うからです。
病名を言い当てるのがこの面接の目的ではありません。したがって特定の疾患そのものずばりというよりは、むしろ症状からいくつかの疾患を考えながら、患者さんとの関係を大事にしつつ、適切な質問をするという方向になるように、幅をもたせた内容にしています。
また、ひとりの人間が人生の途上で病気や事故に出会っていることがシナリオの上できちんと書かれているようにします。私はSPのシナリオを「人生劇場」だと思って、その人になるきるための台本として大事に考えています。
自分の感情、相手の印象
SPは演技をしながら、相手の話し方や態度について「患者としてどう感じたか」を感想として述べたり、OSCEでは簡単な評価表に記します。いずれにしても役になりきって面接をしながら、自分の感情に気づき、相手の印象をつかむという作業をします。
たとえば、最初は冷たそうな感じがしてこちらも緊張していたが、だんだん話が進むにつれて親身にわかろうとする気持ちが伝わってきて楽に話ができるようになってきた、という大きな流れをつかんだとします。「冷たい」から「親身な感じ」に相手の印象が変化していますが、感情も同時に、緊張から楽へと変化します。
一つひとつをこと細かにとりあげるのではなく、このように大きな流れをとらえて、「自分は相手をどのように受け止めて、最後はどんな気持ちになったか」をつかむことが大切です。
感想の伝え方
口頭で感想を述べるときには、必ず相手役の状態を見て、適度に加減をしながら、大事な点だけを簡潔にまとめます。
たいていの相手役の医療者は、いまの自分の面接について、ああすればよかった、あれはいけなかった、などとご自分でわかっておられます。それ以上の追い打ちをかけるようなことは避け、翌日からより前向きに患者さんに出会いたいと思ってもらえるようにとこころがけて話します。嘘やお世辞を言うのではなく、自分にとってよかったこと、うれしかったこと、具体的に気づいたことを率直に語るようにします。
[佐伯晴子]『話せる医療者』医学書院刊より