東京SP研究会トップページ > コラム:日下隼人 > No.111
「チーム医療」は、たくさんの診療科の医師が集まってすることだと思う人はもういなくなったでしょう。でも、チーム医療は、受け持ち医師が中心になって、他の医師や看護師、その他のメディカル・スタッフが集まって患者さんのことを考えることだと思っている人はまだいっぱいいそうです。
患者さんもチームに入らなければと考える人も最近では増えてきました。でも、やっぱりチームリーダーは医師だと考える人が多いようです。
患者さんがその人らしく生きていくことができるように最大限のケアを行っていくことが医療なのですから、その患者さんこそが医療チームの中心ないしコンダクターだというほうがよいでしょうか。でも、もう一ひねり。医療は、患者さんのかかえる問題を患者さんと医療者とのコラボレーションで解決していくことだと考えると、リーダーは解決すべき課題ごとに交代するのではないでしょうか。
そのとき、医師の仕事は、リーダーというよりも、患者さんを支えるという事業のコーディネーターのようなものではないでしょうか。ちょうど、コンサートを成功させるためのマネージャーのように。準備に汗水をたらし、調整に走り回り、時には罵声を投げかけられ、脚光を浴びるのはアーティストと観客だけで、それでもコンサートの成功を陰ながら喜ぶ。そんな仕事を楽しめる医療者が増えた時、医療は患者さんに近づくのではないでしょうか。4年ほど前にサーバントリーダーシップという言葉を知った時、少しうれしくなりました。 (2012.8)
金井壽宏・池田守男「サーバントリーダーシップ入門」かんき出版2007
ロバート・K・グリーンリーフ「サーバントリーダーシップ」英治出版2008