東京SP研究会トップページ > コラム:日下隼人 > No.135
35年前のことですが、外口玉子さん(高名な看護師さんです)のお宅に伺って、夜中の2時過ぎまでお話しさせていただいたことがあります。伺った時には、すでに何人かの看護師さんたちと「宴会」が始まっていました。池川清子さんと初めてお会いしたのも、この時でした。私はその時すでに「看護教育」という雑誌にいくつか文章を書かせていただいていたのですが、それまでモヤモヤ考えていた看護への複雑な思いが、外口さんの元気溢れる言葉と雰囲気でずいぶんすっきりしたことを覚えています。
「洗練された素朴さ」という言葉と出会ったのは、この時です。外口さんの明るい声と合わせて、いまでもその場面がよみがえります。広く深い「知」に裏打ちされているけれど、全くのシロウトでも出来そうに見えるさりげないケア。経験を踏まえた広く深い「知」と、初心者のみずみずしい感性の共在。その後ずっと折にふれてこの言葉を思い出し、その意味するところを繰り返し考え、自分の目標としてきましたが、未だに目標です。
研修医オリエンテーションで、「看護についてのディスカッション」の導入の「雑談」として、この時の思い出に絡めてこの言葉を話してみました。誰かの心に残ってくれると嬉しいのですが。(2013.7)