東京SP研究会
コラム:日下隼人

日下隼人プロフィール

No.34

また「させる」について

日下隼人    研修医を指導する医師の研修会として臨床指導医養成講習会というものがあり、私も講師(タスクフォースと言います・・・あまり好きにはなれない言葉なのですが)として時々お手伝いをしています。そのタスクフォースとして一緒に参加している医師が「研修医に・・・させる」と言うことはしばしばで、そのたびに私はその言葉に引っかかって黙ってしまいます。一昨年のある講習会では、「研修医にフィードバックを返してやる」と繰り返し言われる方がおられて、とても疲れました。いくら「研修医を支える」ことを講習しても、「させる」「してやる」の言葉のほうに参加者は引っ張られてしまいます。もともと、そういう考えが染み込んでいる人たちなのですから、「させる」という言葉は隠されたカリキュラムとして有効に働きます。
   指導医講習会で「コーチング」のセッションはいつも人気です。でも、それは「コーチしてやる」という医師たちの姿勢を強化してくれるからなのではないかと、最近私は懐疑的です。
一朝一夕に考え方が変わるということは難しいのですから、「させる」「してやる」「してあげる」という姿勢の医療・教育は「おかしい」のではないかということを根気良く言い続けていくしかないと思っていますが。


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