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No.54
夢と面白さを語りたい
ある病院の看護副部長が研修に来院されました。「副院長として、看護部長にどのようなことを期待するか」と尋ねられましたので、「ケアの面白さと看護の夢を語りつづけること」とお答えしたところ、とても驚かれていました。こんなことを医者が言うとは思っておられなかったのでしょう。最近では、損益計算書を読み込んだり、厚生行政の先を読むことが管理者の条件だと思わされてしまうような状況があります。医療をとりまく状況が厳しいので、それはやむをえないことだとは思います。でも、病院管理にあたる人間のすべきこととは、どんなに経営管理を勉強していても、職員には「すべては患者のために」と言い続け、「ケアの面白さと医療の夢」を語り続けることなのではないかと思います。朝令暮改の厚生行政の先を読むことは右顧左眄することにしかなりませんし、「経営がうまく言ったらどんな医療をするのか」ということを言わなければ職員は経営改善に努力しようとは思わないでしょう。医療を「良くする」ためには、「新しいことを言うことが大切なのではなく、重要なことをくりかえし言うことが大切なのだ」(鶴見俊輔)と思います(この言葉、私は繰り返し言っていますね)。