東京SP研究会
コラム:日下隼人

日下隼人プロフィール

No.81

素敵な笑顔

日下隼人     九州新幹線の全線開業広告が話題です。1万人以上の人が、新しい新幹線列車に手を振っています。すてきな笑顔です。鉄道マニアとしては、いっそう感慨深いものがあります。秋田新幹線が再開通したときには、個人の提案から同じような企画が実現し、そこでも笑顔が溢れていました。特別な時でなくても、すてきな笑顔の人は私の周りにもたくさんいます。いつも行くケーキ屋さんのご主人やレストランのシェフ、犬の散歩で知り合いになった人たち、・・・・・。
    笑顔は人を包み込みます。しかし、大きな笑い声は人を跳ね返します。医者になった時から、患者さんと話すときに大きな笑い声を交えて話す医者の存在が私には気になっていました。話の内容は面白いことなのかもしれませんが、医者に先に笑われた時の患者さんの気持ちはどうでしょうか。医者の笑いに合わせて笑い、明るい気持ちになる人もいるでしょうが、医者の笑い声に溝を感じる人もいるはずです。そして、私たちが見失わないようにしなければならないのは、医者の笑いについていけない人たちであり、医者の笑いと自分の気持との間に溝を感じる人たちの方です。
    大きな声や大笑いは、それ自体が権力関係の表れです。井上忠司は「『ワライ』は、すでに不利な地位ないしは位置にある者に対する・・・、いわば勝ちかかった者の特権である」「私たちの『笑い』は・・・、他者に対する優越感を伴っているばあいは『嘲笑』となり、他者に対する同調的な態度をあらわす場合には『微笑』となるのである」(『世間体の構造』)と言っています。大声で笑っている人を見ていると、意識的かどうかは別として、このことがわかっているように感じます。
    笑い方、歩き方、挨拶の仕方。こういったことがコミュニケーションの本質かもしれないということを伝えることは簡単なことではありませんが、それを伝えないかぎりコミュニケーション教育は不完全なものだと思います。
    30年前「医者って・・・、どうしても好きになれないの。優しそうな顔の後ろで、もう一つの顔が不気味に人を嘲笑っているような気がして」と卒業の時の寄せ書きに書いた看護学生は今どう考えているのだろうと時々思い出しています。



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