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No.83
TDRのキャスト
地震の時のTDRのキャストの行動が評判になっています。
キャストの誰もが慌てず、ゲストを落ち着かせるよう声をかけていました。ゲストが安全なように、ゲストが落ち着くように、マニュアルにない色々な行動をそれぞれの判断で起こしました。キャストは、翌日の朝まで、ぜんぜん嫌な顔をしないで、ずっと笑顔で接しました。その頑張る姿に、ゲストからの信頼感が生まれ、ゲストを力づけました。
「すべてはゲストの安全と安心のために」そのシンプルで明確な哲学のもとに、そしてどんな時も「夢の国」であることを忘れずに、自分の頭で一人ひとりが判断し動くことこそが強みだと言った人がいます。ふだんからゲストをおもてなしする、安全を守る、心からそういう思いで働いていなければできないだろうと考えた人もいます。
そういえば、地下鉄サリン事件の時の聖路加国際病院のスタッフも、上からの指示を待たずに、自分が良いと思うことをどんどんしていったそうです。(高田朝子「危機対応のエフィカシー・マネジメント」)職員を心から信頼し、それをバックアップするのが管理職の仕事です。職員を信じていない管理職のいるところ、後から管理職が職員の責任を問うところでは「指示待ち症候群」の部下しか生まれません。もう一つ、管理職の仕事は、職員の提言や行動に対して「それはどんなふうに患者さんのためになるの?」「それが患者さんにとってのベストなの?」と、なんとかの一つ覚えのように訊き続けることだと私は思っています。非常事態にいつもと違う臨機応変の対応が出来るためには、「いつも」心がけている哲学が身体に染みついていることが必要なのですから。