東京SP研究会

 

2002年  日本医学教育学会 座長記録2

 第34回 日本医学教育学会一般演題 7月26日 第一会場 OSCE(3)



第34回 日本医学教育学会一般演題 7月26日 第一会場 OSCE(3)

座長:津田  司(三重大学)
佐伯 晴子(東京SP研究会)

   第一会場3番目のOSCEセッションが6名で行われた。福本氏(山口大学)は3年間の検討を通して、医療面接での教員とSPの学生評価における有意な相関の事実を示した。SPという部外者による学生評価は教員にとっては扱いが難しいようで、過去の学会でも「相関」についての発表が多く見られたが、福本氏の3年間に及ぶデータの分析で、相関はあるが細かな点では両者の観点が異なるという見解に達したのではないだろうか。今後はSPの評価を学生指導へどのように活用すればいいのかを考えたい。高木氏(京都民医連中央病院)は職員の有志を募り、米国のCSA(clinical skills assessment)に似た形式でのOSCEステーションを設けて、研修医の臨床能力をテストした。研修医の診断能力の前提に基本的な面接態度ができていることを願う。上野氏(東海大学)はSPの評価は医療面接の教員評価とよく相関し、他の臨床技能評価とは相関しないという分析を通して、SPの評価が教員の評価を補う可能性をもつことを強調した。個々の試験では及第でも全体の印象や対人態度に問題を感じる学生を見つけ出し、適切な指導を行うことは必要だろう。その材料としてSPの評価が活用されるのであれば協力するSPもやりがいと責任を感じるはずだ。宮田氏(札幌医科大学)は医療面接実習でSPからのフィードバックを学生がどのように受け止めているかをデータ分析しフィードバックが学生の意欲に作用することを示した。綿密な授業評価をすることで実習内容の充実が図られることを強く示唆している。山城氏(佐賀医科大学)は大学の事務系職員からのボランティアSPの評価と教官の評価の食い違いについてのべた。延べ2時間のセッションでSPとしての演技力と評価の仕方を訓練した後にOSCEに臨んだ結果、教官の評価と有意な相関を認めなかったとのことだ。SPと教員の評価に相関を生むためには準備段階で価値観を共有する時間がもう少し必要なのではないか。吉田氏(九州大学)は医療面接を技術論で終わらせず、臨床実習での自己カウンセリングの方法として活用し、自己解決能力の向上につなげる試みを行った。SPの感想と教科書を読んで多様な価値観と出会うことの有用性を示唆した。
   SPを導入する、もちいる、招聘する、などそれぞれの表現がみられ、SPとの関係あるいは教育への考え方の一端をうかがわせるセッションであった。




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