東京SP研究会
Simulated Patient

演題名:共用試験医療面接課題の問題点と効果的実習のあり方


抄録本文: 【共用OSCE対策実習の限界】
SPの目的は、医療者が患者の疾患のみに注目するのでは無く、疾患を持って生活している人間の気持ちに寄り沿った形で鑑別診断や治療を行える様にすることであり、そのためにも、まずは初対面の患者に対してより良きコミュニケーションが図れるように手助けすることにある。その一方で、OSCEを目前に控えた実習で要求されることは、あくまで試験対策としての模擬患者であり、患者の気持ちにそぐわない質問であっても、答えざるを得ない場合が多い。共用OSCEでは、どの様なプロセスを得たとしても、質問に対する採点方法は画一的である。患者が抱えている病気の悩み事に関する質問も、一般的な生活習慣に関する質問も、家族や血縁関係に関する質問も同列に扱われているが、本来は、質問の内容や方法、言葉使いの柔らかさ、相手の気持ちをくんだ間の取り方等により、患者の受け取り方も様々であり、答え方にも当然の様に違いがでてくるはずであろう。

【効率的な学習方法の提案】
多くの医学部、歯学部、薬学部の共用試験OCSE対策実習に協力した経験から
1)実習の形態   面接後学生の感想、指導教官の講評、SPのフィードバックを行う。参加意識を高めるには小グループ制が望ましい。小グループに分け、3〜4種類のシナリオ(SP)に限定し、指導方法を標準化するのがよい。
2)講評時間での指導教官、SP、学生のありかた。 講評は学生のやる気と満足感を与えることが目的である。指導教官は指導を、SPは患者として気がついたことに対する感想を、学生は面接の感想を述べるのは当然であるが、3者が一方的に喋るのではなく3者間で会話ができるようにすることが望ましい。従ってこの時間は最低5分程度は必要ではないか。

【展望】
実際に患者に接している社会人1〜2年目の若き医師や薬剤師に対しては、医療の受け手との対話を意識したSP本来の役割を果たせる実習を行うのが、今後の医療の改善につなげる上で望ましい。
キーワード1: 共用試験OSCE 、 採点方法 、 3者のフィードバック  

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